竹島の自然環境について
竹島は、全島が八百富神社の境内となっており、対岸とは異なる各環境に対する植生と、多くの暖地性植物を保有しています。島を被う植物は常緑広葉樹で、暖地性植物がみられるということから昭和5年(1930)8月25日に国の天然記念物に指定されました。指定名称は「八百富神社社叢」で、指定告示番号は「文部省告示第198号」です。
告示書の「説明」という項には次のような解説がなされています。「蒲郡町ノ海岸ヲ距ル僅ニ四〇〇メートルニ過キサル竹島ニアリ暖地性樹種ヨリ成リ対岸ノ陸地ニ於ケルモノト林相ヲ異ニスルニヨリテ著シ」。
国の扱いとしては「社叢」ということと、「青島や浦葵島に類するような陸地に遠くない島で特異なフロラをもっている」という2つの項目が指定理由です。愛知県内の国指定天然記念物で「社叢」としての指定はほかにもありますが「陸地に遠くない島で特異なフロラ」を併せもつものとしては、竹島以外にはないでしょう。
竹島全島は暖帯林特有の照葉広葉樹に覆われ、いわゆるタブ型森林を構成しています。
高木層にはタブノキの他に、モチノキ・ヒメユズリハ・ヤブニッケイなどが多く、さらに島を囲む波打ち際上部の急斜面にはマサキ・トベラ群落が成立しています。
樹下にはヤブソテツ・ツワブキなどや、テイカカズラ・サネカズラなどの蔓植物も多い。特に林床のキノクニスゲは、竹島が日本における分布の北限とも言われており、これまでの調査で65科238種の高等植物の自生が確認されています。
竹島は小面積の割に草木が密生し常緑樹が多く、対岸のクロマツ林とは景観が異なります。
竹島は、陸地沿岸から約400m、面積約1.9ha、周囲約600m、最高所の海抜約22mで、三河湾の最北部に浮かぶ楕円形の小島です。
竹島を作る岩石は、花コウ岩の仲間で、南部の崖で白色の岩脈が注目されます。
竹島を構成する岩石は、三谷の弘法山の岩石の続きであると考えられており、大島、小島、幡豆の前島(兎島)、冲島(猿島)、梶島も同種の岩石からできています。竹島の岩石ができた年代は、7千年前と見当づけられています。(カリウム・アルゴン法による。「日本の地質5」中部地方Ⅱ、共立出版。「日本地方地質誌」中部地方〈改訂版〉、朝倉書店)